弱い女の生き方

弱い自分のまま少しでも幸せになれるようにいろいろやってみたり、考えたりしたことを書いています。

映画『アバウト・タイム』を見て、日常が愛しくなった【感想】

明るくてやさしい物語が見たくなってネットを彷徨っていたところ、たまたま目についたのが『アバウト・タイム〜愛おしい時間について』。

主人公・ティムが父親から「うちの一族の男性は代々、タイムトラベル能力が使える」と告げられるところから始まるSFラブコメディ・ヒューマンドラマです。

笑えて、泣けて、明日からの日常がちょっと変わるかも。……と思えるような名作でした!

冒頭ネタバレなしで紹介、後半からはネタバレありで感想を書いていきます。

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※記事のトップ画像は素材サイトよりDLしたため、実際の映画とは無関係です。

人生の楽しさを思い出したい人におすすめの映画(ネタバレなし)

この映画の良いところはいろいろありますが、ネタバレせず&簡単に言うと、

  • タイムトラベルものにありがちな難しいルールなし(※)
  • 主人公の間抜けさにクスッと笑えるシーンが多い
  • 日常の大切さに気づけるような教訓もある

(※)逆に、タイムパラドックスとかを考慮したSF映画を期待して見るのは微妙かも

世間的にも、3つ目の「日常の大切さに気づける」という点で評価している人が多そうですね。個人的にもそこが一番グッと来ました。

前半は恋愛、後半は家族にフォーカスしたストーリー。
ちょっとセクシーなシーンもあるのでお子さまと含めた家族で見るのはちょっと気まずいかも…。私は1人で見ましたが、夫婦・恋人で見るのも楽しそうです。(個人の意見ですが、泣けるので友達と見るのは照れるかも)

共感性羞恥を感じやすい人はちょっと注意(ネタバレなし)

私もそうなのですが、共感性羞恥を感じやすい人は前半特にしんどいかもしれません…。
タイムトラベルを利用して何回でもやり直せるという話の性質上、主人公・ティムがけっこう無謀な行動をしまくるんですよね。

時間を戻ってしまえばなしになるので良いといえば良いんですが、恥ずかしめの失敗をガンガン見せつけられるので何度か顔を覆いました。笑

そこが面白さでもあるし、適度にハラハラできるから飽きませんが、極端にそういうのが苦手な方は注意した方がいいかもです。

好きなポイント・感想・名言(以下、ネタバレあり)

※ここから先は作品の展開や結末に関する内容を含みます※

展開を知っていても楽しめる作品ですが、個人的には展開や結末を知らずに見てほしいので、未視聴の方はご注意ください。

主人公「ティム」とヒロイン「メアリー」の運命性

ストーリーの主軸であり、特に前半の見どころである主人公・ティムとヒロイン・メアリーの恋愛模様

ティムは最終的にはタイムトラベルの能力を使ってメアリーを射止めたけれども、完全に能力のおかげじゃないのが良かった!

最初の時間軸で自然&ロマンティックな出会いをしてそのまま上手くいきそうだったのに、居候先の脚本家・ハリーが手がけた舞台が失敗したことを知って、成功させるために能力を使うティム。

そのせいでメアリーと出会わない世界線になってしまったけれど、ハリーの成功を優先してやり直しはしなかったティム、良い奴すぎる。

写真展で待ち伏せして、初対面のメアリーに声をかけるくだりはふつうにストーカーかつ不審者で共感性羞恥がバリバリに働いてつらかったけど…。

そんな最悪な出会い方でもメアリーはティムを「キュート」と言ったんですよね。
欠点みたいなところをキュートだと言ってくれるのは、運命の相手と言っても良いと思う。

「欠点」を肯定してくれる

ティムのちょっと情けないところを「キュート」を言うメアリーをはじめ、この作品では随所で欠点を肯定してくれる。

特に好きなのは、メアリーが初めてティムの実家に行った時のティムの母親とのやりとり。
ティムの母親は、メアリーに何よりも先に「欠点は?」と質問します。

ティム母「あなたの欠点は?」
メアリー「私、とても臆病なんです」
ティム母「いいじゃない」
メアリー「それからもちろん時々ですが、不機嫌になることがあって」
ティム母「それは大事。いつでもニコニコ言いなりじゃダメ」
メアリー「あと息子さんに弱いです。彼が大好きなので」
ティム母「私も。でもティムには内緒よ。あの子、図に乗るわ」

このシーン、2人の表情とか間の取り方とかセリフとか全てが大好きで、ここだけ何度も見返しました。

実際、姑になる人に初対面でいきなり欠点聞かれたら震え上がると思うけど、これから家族になる人とは飾らずに接したいということだったのかも。

そして全部「いいね」って言ってくれるのが素敵すぎて、自分じゃないのに救われたような気持ちになった。

やり直さない結婚式

ティムとメアリーの結婚式当日はかなりの悪天候で、野外に設置されていたパーティー会場はめちゃくちゃ。結局家の中に避難することに。

それでもティムがタイムトラベルの能力を使わなかったの、最高。

正直ぐっちゃぐっちゃすぎて最初見ていたときは「あらら〜!でもやり直せばいいもんね」と思ってたんだけど、浅はかでした。

ティムとメアリーは雨に打たれて風に飛ばされそうになりながらも本当に幸せそうに笑っていて、やり直す必要なんてまったくなかったんです。

このシーンの2人の笑顔がキービジュアルに使われているのも納得。
土砂降りの雨で台無しになってもティム自身が「幸せだ」と感じたし、メアリーも幸せそうだったからやり直す必要はないって思ったんだろうな。

「健やかなる時も病める時も」を結婚式でクリアした2人を見ていると、こっちまで幸せな気持ちになります。

良いことも悪いことも起こる「人生」の愛おしさ

物語の後半で、ティムの父親が癌だと宣告され、余命数週間と知らされます。ティムと同じくタイムトラベルの能力を持つ父は、ティムに「日々を幸せに過ごすコツ」を語り始めますが、ここが結婚式と並ぶ2回目の見せ場ではないでしょうか。

ティムの父がティムに伝えたコツは、

  1. 普通の生活をすること
  2. 普通の生活をほぼ同じやり方でやり直すこと

でした。

何気ない日常をまずは普通に過ごしてみて、やり直す必要がない日でも、あえてやり直してみる。しかも、特に何かを変えようとは思わずに。

1回目は過ごすことに必死で気付けない、何気ない日常のありがたさ。パンと飲み物を買うことひとつ取っても、事務的にこなすのではなく、目を合わせて「ありがとう」と言うだけでお互い気分よく過ごせたり。

自分の心持ちや振る舞いだけで日常の見え方は変わって、「思い返せばいい日だった」と気づける。

私たちにはタイムトラベルの能力はないけど、やり直しているつもりで日々を過ごせば、見え方が変わってくるのかもしれないな、と思いました。

総合評価

ふつうに生きているとつい忘れてしまう人生の尊さ、日常の大切さを思い出させてくれる『アバウト・タイム〜愛おしい時間について』。

前半はドタバタ笑えて、後半はしっとり泣ける、贅沢な作品でした。
主人公ティムの不器用さに最初は「おいおい!」となってましたが、段々とそこも好きになってきます。

よわ美的に点数をつけるとしたら…91点

共感性羞恥分でちょっぴり減点していますが、その辺気にならない方ならもっと楽しめると思います!

「同じ能力が手に入ったらどうする?」とか、感想を言い合うのも楽しそう。

Netflixで配信されているので、入っている方はぜひ見てみてください。