12/20(金)公開の映画「ライオン・キング:ムファサ」を観てきました!(日本語吹替版)
アニメ映画を子どもの頃に観ていた+最近見返してて記憶に新しかったので純粋に内容が気になって。
(観たのは一番最初の映画だけで続編は見ていません。また、実写版というかCG版は初見です)
「スカーとムファサの過去話やるらしい」くらいの前情報で観に行ったのですが、想像以上に良くて泣きました…。
以下、ネタバレありで感想を書くので、まだ見ていない方はご注意ください。
あらすじ
両親とはぐれて野良ライオンになってしまったムファサは、溺れてワニに襲われかけていたところをタカ(のちのスカー)に救われる。タカはその場所の王子で、将来王になることを約束されていた。兄弟となったムファサとタカは絆を育むが、ある日故郷を追われることになり——。
好きなポイント・感想(以下、ネタバレあり)
もともと、スカーはディズニーのヴィランの中でも好きなキャラクターです。
最近元の映画を見返していて、冒頭からスカーの扱いが結構酷かったので「これは闇堕ちするわ」と思ったりもしました。(ザズーがスカーに対して「よい敷物になりますぞ」と陰口を言って、ムファサがそれに笑ったり…)
今回の実写版を見て、さらに見方が変わりましたし、そういう人は多いんじゃないかなと思います。
バッドエンドを知った上で見る切なさ
もちろん、「ライオン・キング」そのものはハッピーエンドです。
スカーの謀略によって殺されたムファサの仇を息子のシンバが果たし、王様になる物語。
ただ、ムファサとタカという兄弟の物語で見ると、どうしたってバッドエンドなんですよね…。
実写版では、兄弟の子ども時代から描かれます。タカ(スカー)だって、子どもの頃からあんなに屈折していたわけではなく、自分が王様になるんだと信じて疑わず、希望に満ちた瞳を持っていました。
ムファサという兄弟ができて本当に嬉しそうで、「兄弟が欲しかったんだ!」と無邪気に話すタカ。
2頭で楽しそうに駆け回りながら歌う「ブラザー/君みたいな兄弟」はもう…可愛すぎて、幸せそうで、自然と涙がこぼれました。
たしかにバッドエンドは変えられないけど、この時間が楽しくて幸せだったことは決して消えない。消えないでほしいなと思います。
丁寧に描かれるタカの劣等感
純粋で兄弟が大好きだったタカを変えたのはなんだったのか?
それはきっとムファサへの劣等感だったのではないかと思います。
本作ではその辺りがとても丁寧に描かれているなと感じました。
はっきりと「劣等感がある」と口にするシーンはもちろんありませんが、表情が表現しにくいであろうライオンでもカメラワークや間の取り方でしっかり表現されています。
野良だからタカの父であるオバシに認めてもらえず、ムファサはメス達の狩りに参加していました。それも、タカにとっては羨ましかったと見えるようなやり取りがあります。
タカの母・エシェがはぐれもののライオンに襲われて命の危機に瀕した時も、タカは怖くて逃げてしまったけれど、ムファサは勇敢に立ち向かってエシェを救った。
後に出会ってタカが恋に落ちるサラビも、ムファサの勇敢さと優しさに惹かれます。
(ムファサがサラビを助け、それをタカが助けたことにしてあげるシーン…優しいけど酷いなぁと思ってしまった。結局嘘だったってバレるし、タカは余計惨めになるばかり)
結局サラビを取られたことが引き金となり、タカはムファサを裏切ることになってしまいました。
やったことは酷いけど、本当に丁寧にタカの劣等感を描いているからついタカの方に感情移入してしまったし、思わず納得してしまう流れです。
それでも捨てきれなかった兄弟の愛
一度は裏切ってムファサを危機に陥れるタカ。
しかし、キロス(はぐれもののライオンの王)にムファサが殺されそうになっているところを見て、子どもの頃にじゃれ合ったことを思い出し、つい庇ってしまいます。
その時についた傷が、あの左目の傷。
憎しみが育ってしまったけれど、まだここでは兄弟への愛が捨てきれなかったんですね…。
ムファサがキロスに勝った後も、水の中に沈みそうになるムファサをタカが引っ張り上げます。
この時と、子どもの頃にワニから助けた時は同じ構図。
そして憎いことに、本編「ライオン・キング」でヌーの群れの中に落ちそうになるムファサの手をスカーが振り落とす時の構図とも同じなんですよね…。
本作の最後ではぎりぎり残っていたタカの中の愛が、その後シンバが生まれてさらに虐げられたことでどんどん弱くなり、憎しみが勝ってしまうのか…。
切ない。切ないとしか言いようがない。
タカにも味方がいてくれたら、そばで愛してくれる人がいてくれたら、もっと違う結果になっていたのかな、と考えてしまいます。
日本語吹替版の声優陣がみんな良かった!
ムファサ役の尾上右近さん、タカ(スカー)役の松田元太(Travis Japan)、どちらもとても良かった!
特に松田元太さん、最初は普通の明るくてやんちゃな雰囲気なんですが、中盤から時々「スカーだ!」とハッとするような演技を織り交ぜてきて大興奮しました。
歌も差し替えではなくて本人が歌ってるんですね?とても上手でびっくり。
あとキロス役の渡辺謙さん、さすがの重厚感でかっこよすぎた。
恐ろしいけどキロスも息子を殺された悲しみを背負ったライオンでもある…その悲壮感と強さを声だけで見事表現していました。
そして、私は実写版初見なのでティモンとプンバァも初めて見たんですが、佐藤二朗さんもミキ・亜生さんもハマり役すぎますね?
佐藤二朗さんなんてアニメのプンバァとキャスト変更なしかと勘違いしたほどぴったりだった。
総合評価
ストーリーもさることながら、映像の美しさにも圧倒された「ライオン・キング:ムファサ」。
元の「ライオン・キング」にも深みが出る、切なくも希望に満ちた名作でした。
よわみ的に点数をつけるとしたら…89点
この先の物語を考えると悲しい気持ちになるけれど、この作品単体で見るとハッピーエンドという構造なので、どちらの視点でも楽しめると思います。
実写版1作目はディズニープラスで配信しているようなので、ぜひ見てみたいと思いました。
皆さんもぜひ観に行ってみてください。