トム・ハンクス主演映画『オットーという男』を見て、生き方について考えさせられました。
映画のタイトル通り、主人公の名前は「オットー」。ルールに厳しく、少しでも破ると誰彼構わず説教をしたり、いつも仏頂面だったりで嫌われ者のオットーですが、実は人生に絶望して命を絶とうとしていました。
そんなオットーが、近所に引っ越してきたある家族によって少しずつ変わっていく…という、コメディ・ヒューマンドラマです。
10月7日からNetflixで配信が開始されたそうですね!
冒頭ネタバレなしで紹介、後半からはネタバレありで感想を書いていきます。
※記事のトップ画像は素材サイトよりDLしたため、実際の映画とは無関係です。
人生に希望を持ちたい人におすすめの映画(ネタバレなし)
この映画の良いところはいろいろありますが、ネタバレせず&簡単に言うと、
- 悪い出来事もプラスに繋がるかも、と思える
- 自分らしく生きることの大切さを思い出せる
- 愛に血のつながりは関係ないと感じられる
私は特に1つ目の「悪い出来事もプラスに繋がるかも、と思える」部分が好きです。
オットーの人生には過去も含めて3度の“どん底”が訪れ、映画ではその3度目のどん底からスタートします。
その人生を俯瞰して見ることで、つらいことの後にも幸せはあるんだと思えました。
洋画にありがちな気まずいシーン(セクシーなシーン)はないですが、じっくりと世界観に浸り、人によっては涙を流すような場面もあるので、そういう意味では一緒に見る人は選んだ方がいいかもしれません。
友人と見るよりは1人か、家族・恋人など涙を見せても気まずくない人と見るのがおすすめです。
暗いシーンに引きずられやすい人はちょっと注意(ネタバレなし)
何度も自死を試みるシーンがあるので、引きずられやすい方はご注意ください。
…と書くと暗い映画だと思われそうですが、個人的にはそこまで暗くなく、クスッと笑えるシーンも多いです。
ただ、めちゃくちゃ明るい!ハッピーヒューマンドラマ!かと言われると決してそうではないので、適度な心の余裕は必要かなと思います。
好きなポイント・感想・名言(以下、ネタバレあり)
※ここから先は作品の展開や結末に関する内容を含みます※
展開を知っていても楽しめる作品ですが、個人的には展開や結末を知らずに見てほしいので、未視聴の方はご注意ください。
オットーの妻・ソニアへの愛
オットーの最愛の妻・ソニアは半年前に亡くなり、それがオットーが命を絶とうとした原因にもなっています。
もう1人で贅沢にベッドを使っていいはずなのに、あえて片側を空けて眠るオットー。ペアのカップやソニアの服も残したままで、細部からソニアの残り香が感じられます。
死のうとする度に走馬灯に出てくるソニア。首吊りし損ねたとき、敷いていた新聞紙でお花の特売情報を見つけて、ソニアのお墓に供えに行くオットーが可愛くて切なかった。
中盤に出てくる「ソニアは世界の全てだった」というセリフの説得力たるや…。
オットーの「ルールに厳しい」性格も、ソニアから歩く機能を奪い、産まれるはずだった子どもの命を奪った事故によるものでした。
いくら嫌な人でも、煩わしいこだわりを持っている人でも、その根本にはオットーのように何か理由があるかもしれないですよね。
「どん底」の先の希望
前述の通り、オットーの人生には3度の大きな絶望がありました。
1度目は、持病の肥大型心筋症のせいで軍隊に入れなかった時。2度目は、妊娠中のソニアと旅行中に事故に遭い、子どもを失った時。3度目は、ソニアに先立たれた時(それが作品冒頭)。
でも軍隊に入れなかったからこそ、ソニアに出会えた。事故でソニアが歩けなくなり、子どもを失ったことは底知れない悲しさを生んだだろうけど、その後もソニアや近所の人々と幸せな生活を送っていた。
ソニアに先立たれていよいよ終わりだと思ったところへ、のちに家族同然の存在になるマリソルの一家が引っ越してきた。
最悪な出来事は必ずしも連続せず、時には最高な出来事だって運んできてくれる。そんな希望も感じさせてくれました。
「自分らしく生きる」を体現して愛を掴んだオットー
オットーを救ったのはたしかに「たまたま近くに引っ越してきた明るい家族」だけど、それだけじゃないのがミソ。彼を嫌う人は多かったけど、近所の住民は彼のことが好きだったんですよね。
言い方はきついけどその奥には愛があったり、おかしいことにはおかしいと言ってくれたり、なんだかんだ人を放っておけない性格だから。
オットーがオットーらしく生きた結果、離れていった人もいれば生まれた絆もあり、オットーを慕う人たちが力を合わせて不動産屋を追い返すシーンはめちゃくちゃ熱かった!
全員に好かれる必要なんてない(というか、そんなのは無理)、自分らしく生きて、そんな自分を愛してくれる人を大切にすればいい。と思えました。
オットーの周りの人たちも愛らしい
ソニアの代わりにベッドの空白を埋める猫ちゃんや、脳卒中でコミュニケーションが取れなくなったけれど時々感情を見せる親友ルーベン、ルーベンとアニータを家族だと言い切るビリー、トランスジェンダーでソニアの元教え子・マルコム。
オットーだけではなくその周囲の人々もそれぞれがとても個性的で愛らしく、たった2時間で1人ひとりを好きになってしまいました。
いつも明るいマリソルが車の運転でパニックになってしまうシーンは、私も車の運転練習中なのでものすごい親近感が湧きましたね…。
そしてオットーがその時マリソルに言った「君はバカじゃないんだから、運転だってできるはずだ」という言葉を、自分にかけてもらったかのように時々思い出しています。
総合評価
自分らしく生きることの大切さ、どん底の先に待っているかもしれない希望を教えてくれる映画『オットーという男』。
切なくて笑えて、最後はやっぱりちょっと寂しい。タイトル通り、オットーという男の人生を味わい、見終えた後は「まだ2時間しか経ってないんだ」と驚いてしまうほどでした。
よわ美的に点数をつけるとしたら…90点
この先の人生に躓いたり、自分らしく生きることをサボっている自分に気づいたりしたら、また観たいと思います。
Netflixで配信されているので、入っている方はぜひ見てみてください。